松ちゃんファイナンスは無登録営業にあたる?
「松ちゃんファイナンス」後輩芸人に100万円無利子で貸付、貸金業にあたる?(弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200507-00011179-bengocom-soci
によりますと、
ダウンタウンの松本人志さんが、新型コロナウイルスの影響で困窮する後輩芸人に対し、1人上限100万円を無利子無担保で貸し付けると報道された。
- やり方を工夫しないと「貸金業法違反」の可能性も
今回の「松ちゃんファイナンス」に関しては、少しやり方を工夫していただかないと「貸金業法違反」という味噌をつける事態になってしまうかもしれません。
ーー何故なのでしょうか?
まずヤミ金排除、貸金総量規制(過剰貸付禁止)、金利の適正化といった借主保護等の観点から、貸金業法は「貸金業」を登録制にしています(貸金業法3条)。
そして、個人間融資であっても、無登録で「貸金業」を営んでしまうと、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金となってしまいます(同法47条2)。
ーー知り合いの後輩芸人に無利息無担保で善意で貸すだけなのに、「貸金業」となるのですか
「貸金業」とは金銭の貸付けを「業として」行うものをいいます。
「業として」というのは、反復継続の意思をもって貸金をすればよく、必ずしも貸付相手が不特定多数である必要はありませんし、必ずしも報酬または利益を得る意思もしくはこれを得た事実は必要ないと解されています。(最高裁昭和28年2月3日、最高裁昭和29年11月24日、最高裁昭和30年7月22日)
つまり、反復継続の意思をもって、要は複数回・複数人に対してお金を貸す意思で貸付をすれば、善意で限られた範囲の人にお金を貸したのだとしても、「業として」お金を貸付けたとされてしまう可能性があります。
ーー1回限りであっても「業として」と判断されるのでしょうか
たとえ、それぞれに対しては1回限りの貸付だとしても、複数の後輩芸人さんに貸付を行う以上、繰り返し貸付を行ったということにもなってしまうでしょう。
なお先程の最高裁の判決の中には、人助けのためにお金を貸しただけなのに有罪判決を受けてしまった件も含まれています。
ですので、今回松本さんが営利目的なく、無利息無担保で後輩芸人1人につき1回きり貸付けるのだとしても無登録営業として貸金業法違反だと判断されてしまうリスクがあるのです。
新型コロナウィルス蔓延による窮状を救う目的で行われる貸付ですので、実際警察が動く可能性は低いように思いますが、松本さん自身が後輩芸人のみなさんに直接貸付けるかたちは無登録営業と指摘されるリスクがあります。ですので、松本さんの善意をかたちにする工夫が必要です。
例えば、松本さんが吉本興業の関連会社である「吉本ファイナンス」や貸金業登録をしているお知り合いの方に出資をして、貸金業者から無利息で緊急融資を行うかたちは一つの手だと思います。
また、本当に困窮している後輩芸人の方にだけ、100万円を贈与する(110万円以下の贈与は贈与税非課税)などの方法をご検討いただけたらと思います。
プリン☆の感想
無利子・無担保の善意の貸付であっても、無登録営業の貸金業法違反の可能性があるのですね。工夫して松本さんが吉本興業の関連会社である「吉本ファイナンス」や貸金業登録をしているお知り合いの方に出資をして、貸金業者から無利息で緊急融資を行う形をとったり、本当に困窮している後輩芸人の方にだけ、100万円を贈与するという形をとるなど工夫する必要があるということです。善意の行いであったとしてもそこに法律の壁が立ちふさがるおいうのはのは、なんともやるせないですね。